空き家の固定資産税が6倍に?税金が上がるケースと対策まとめ
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「親から家を相続したけど使いみちがなく、空き家になっている」という方は多いのでは?
場合によっては、空き家の固定資産税が6倍に跳ね上がることがあるので注意が必要です。
では、具体的にどのようなケースだと固定資産税が6倍になるのでしょうか。
ここでは、空き家に関する法律と固定資産税について解説しながら、固定資産税が6倍にならないための対策をご紹介します。
こんな悩みを解消します!
- 空き家を持っており、税金がいくらかかるのか心配……。
- 固定資産税が6倍になる?「特定空き家」について知りたい。
- 使わない空き家があり、どうしたらいいのか悩んでいる。
「空き家」への対策が始まっています
全国に空き家がどのくらいあるかご存じですか。
総務省が5年に1度実施する「住宅・土地統計調査(平成30年度)」によると、総住宅数(6240万7000戸)に対して空き家の数は848万9000戸。
割合にして全体の約13.6%を占めており、言い換えれば8軒に1軒以上が空き家というのが現状です。
今後も少子高齢化などの影響により、空き家の増加が予想されることから「空き家対策特別措置法」が制定され、現在空き家への対策が進められています。
空き家対策の推進に関する特別措置法とは
従来は各自治体が条例などを定めて空き家の対策を行っていましたが、2015年5月から「空き家対策特別措置法」が完全施行されました。
これによって法律の下、空き家対策が講じられることになりました。
廃屋や危険な空き家は「特定空き家」に指定
「空き家対策特別措置法」では、空き家の定義を「居住その他の使用がなされていない建築物とその敷地」としています。
といっても、この法律はすべての空き家を措置の対象にしているのではありません。
きちんと管理されている空き家はこの法律の対象外となります。
では、どんな空き家が対象となるのでしょうか。
具体的には下記の条件に該当する空き家が「特定空き家」に指定され、措置の対象となります。
特定空き家指定の条件
- そのまま放置すれば倒壊が著しく、保安上の恐れのある状態のもの
- そのまま放置すれば、著しく衛生上有害となる恐れのある状態のもの
- 適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっているもの
- その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切であるもの
簡単に言えば、「近隣に迷惑をかけている空き家」もしくは「迷惑をかけそうな空き家」が対象になるということです。
「特定空き家」に指定されるかどうかは、空き家を管轄する自治体が実施する調査によって決まります。
この調査は正当な理由がない限り拒否することはできず、また所有者への通知が困難だと判断された場合、所有者の立ち会いがなくても調査が実施されます。
ただ、抜き打ち調査ではなく、必ず事前に調査を行う旨が通知されます。そして調査の結果、前述の条件に該当した場合は「特定空き家」に指定されるのです。
もし「特定空き家」に指定されると…
「特定空き家」に指定されてしまうと、さまざまなデメリットが持ち主に発生します。
ここからは「特定空き家」に指定されるとどうなるのか、そのデメリットについて詳しくみていきましょう。
固定資産税が6倍に
「特定空き家」に指定されると、住宅として使われている土地に対する固定資産税の軽減措置から除外されます。
敷地の面積が200㎡以下の場合、固定資産税は軽減措置によって1/6で済みますが、それがなくなれば、実質的に固定資産税は6倍に跳ね上がってしまうというわけです。
住宅用地における固定資産税の特例
住宅の敷地 | 固定資産税 | 都市計画税 |
200㎡以上 | 1/3に軽減 | 2/3に軽減 |
200㎡以上 | 1/3に軽減 | 2/3に軽減 |
※200㎡を超える部分は床面積の10倍が上限
200㎡ってどれくらい?
自分の空き家の敷地がわからないときは、それまで支払っていた固定資産税の納税通知書を確認してください。
そこに「小規模住宅用地」との記載があれば、住宅の敷地は200㎡未満です。それ以外の場合は「一般住宅用地」と記載されています。
行政からの通告や強制対処も行われます
次に「特定空き家」に指定された場合の具体的な自治体の対応を説明します。
まずは改善への助言と指導を実施
「特定空き家」に指定されたにもかかわらず、何の対処もせずに放置していると、行政によって最終的には更地にされるなど強制対処が行われます。
しかし、事前の予告もなく、行われるわけではありません。
まず自治体から所有者に改善の要望を伝えられます。
解体や修繕、立木竹の伐採が必要であれば助言や指導がありますが、それでも改善されないと自治体が最終的に判断した場合、猶予期間を設けて勧告が出されます。
勧告でも改善されなければ命令に
勧告に従わなかった場合、今度は猶予期限を付けて改善命令が出されます。このとき、空き家の所有者に意見書の提出や意見聴取なども行います。
命令に従わなければ強制対処
命令の猶予期間内に改善しなかった場合、いよいよ強制対処となります。
「いま改善している最中です」と逃げたり、改善しているフリをしたりは許されないという、厳しい規定になっています。
基本的に空き家の改善費用は所有者負担ですが、このように自治体による強制対処の場合ももちろん、費用は所有者が負担しなければなりません。
対策は1月1日に間に合うように!
固定資産税の計算は、翌年の1月1日を起算日としています。
つまり「特定空き家」に指定されても、翌年の1月1日までに指定を解除してもらえれば、固定資産税の優遇措置を受けられるのです。
ですから自治体の調査を妨害したり、人を無理やり住まわせたりして「特定空き家」の指定を回避するよりも、改善に取り組んで速やかに指定を解除してもらったほうが得策です。
ただし、自治体に解除を申し込んでから実際に解除されるまで、審査や確認に時間がかかるので、対策はできる限り早く行いましょう。
「空き家再生等推進事業」の申請をしてみよう
空き家を解体したり、リフォームして再利用するなら「空き家再生等推進事業」の補助金制度を活用しましょう。
国や自治体から補助を受けられる制度で、たとえば解体するなら最大で80%、リフォームなら66%の費用を負担してくれます。
補助金の金額や利用できる条件は各自治体によって異なるので、まずは自治体に相談してみましょう。
空き家はどうしたらいい?
きちんと管理されている空き家は、国が行う強制的な措置や増税の対象外となりますが、空き家のまま管理し続けるのも何かとコストがかかるものです。
ではどうすればいいのでしょうか。ここからは空き家の主な活用方法をご紹介します。
親族など誰かが住む
家は住む人がいなくなると、劣化が早くなるとよくいわれますが、誰かに住んでもらえば空き家ではなくなり、掃除などのメンテナンスもしてもらえます。
周りに住んでもらえそうな友人や親類がいないか探してみましょう。
賃貸物件にする
更地にするのに抵抗を感じる場合、賃貸住宅として貸し出すことを考えてみましょう。
固定資産税などを払う必要はありますが、家賃収入が見込めます。
売却してお金に換える
今後誰も住む予定もなく、維持費もかけたくないなら思い切って売却するのも手です。
たとえば、空き家を兄弟で相続する場合、売却して現金化すれば財産分与がしやすいだけでなく、相続に関わる税金の控除を受けられるメリットもあります。
ただし、地方の空き家は想像以上に安い金額で取引されるケースが多いことを認識しておいてください。
特に過疎地の場合は買い手がおらず、価格がつかないこともあり得ます。
空き家を少しでも高く売りたいなら、まずは複数の不動産会社に査定してもらうことから始めましょう。
家の査定でチェックされるポイントについては「家の査定はどこをチェックしている?評価ポイントと注意点」を参考にしてください。
更地にして売却する
空き家がボロボロで維持やリフォームが難しい場合は、更地にして売却することも考えてみましょう。
土地と家屋をセットで売るよりも、解体して更地にしたほうが売れやすいケースもあります。
ただし、空き家を更地にした場合、住宅付きの土地に対する優遇措置がなくなり、固定資産税が高くなるので要注意。
たとえば小規模住宅用地の場合、更地にしたときの固定資産税は、更地にする前と比べて最大で4.2倍になるので、更地のまま長期間保有することにならないかどうか、十分検討してください。
「空き家バンク」を利用してみる
「空き家バンク」をご存じでしょうか?
「売りたい・貸したい」という空き家の所有者と、「買いたい・借りたい」という利用希望者を引き合わせ、空き家を有効に活用していこうとする自治体の取り組みから生まれたサービスです。
「空き家バンク」は一般的な不動産会社のように営利目的ではないので、仲介手数料や使用料などは必要ありません。
ただし、空き家バンクが行うのは希望する両者の引き合わせのみなので、交渉や契約などは個人、もしくは不動産会社など専門家に依頼することになります。
平成26年の調査では全国1719の市町村中、595の市町村が空き家の有効活用を促進するサービスを実施しています。
空き家バンクの有無やその運営・登録方法は各自治体によって異なるので、まずは自治体に問い合わせてみましょう。
JOIN ニッポン移住・交流ナビ(一般社団法人 移住・交流推進機構)
空き家を使っていないなら、早めに売却するのも手
今回お伝えしたように、空き家の固定資産税が6倍になるのは「特定空き家」に指定された場合です。
だからと言って、使う予定のない空き家を持ち続けるのはおすすめしません。
家が古くなれば、貸すにもその分メンテナンスが必要ですし、売るにしても価格はどんどん下がる一方……。
空き家を持ち続けるかどうか迷っている方は、早めに売るのが得策かもしれません。
売るのか、貸すのか。いずれにしても、まずは査定で自分の家の価格を知ることが重要です。
そんなときに便利なのが、無料の不動産査定サービス「すまいValue」と「イエウール」。
これら2つのサービスを一緒に使うと、大手から地元の中小不動産会社まで幅広く査定が依頼できるので、「地方にある実家の査定を依頼したい」という方にも大変便利なんです。
空き家の売却でお悩みの方はぜひ試してみてくださいね。