不動産売却の仲介手数料はいくらかかる?計算方法や注意点を解説
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不動産会社を通して売買が成立すると、その成功報酬として発生するのが「仲介手数料」です。
では実際に仲介手数料はいくらかかるのでしょうか。
ここでは仲介手数料の計算方法や注意点、値引きのコツなどについて解説します。
こんな悩みを解消します!
- 不動産売却の「仲介手数料」とは?いくらかかるのか知りたい。
- 仲介手数料で注意すべきこととは?
- 仲介手数料は不動産会社によって違うの?安くなる方法はある?
- 「両手仲介」と仲介手数料との関係は?なぜ注意が必要?
仲介手数料とは
「仲介手数料」とは不動産を売却したとき、その仲介を依頼した不動産会社に支払う成功報酬のことです。
不動産会社に売却を依頼する際、媒介契約を結ぶ必要がありますが、このときに仲介手数料の金額や支払いの時期なども取り決められます。
ここで理解しておきたいのが、媒介契約を結んだ時点では仲介手数料は発生しないということ。
仲介手数料はあくまでも成功報酬なので、原則として売買が成立してから支払うことになります。
不動産の売買は個人間で行うことも可能であり、その場合は不動産会社を介さないので、仲介手数料を払う必要はありません。
ただ、買い手を見つけて売買の手続きまで行うとなると、高度な専門知識が求められるため、プロである不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。
ですから、不動産の売却には基本的に仲介手数料がかかると理解しておいていいでしょう。
仲介手数料はいくらかかる?
仲介手数料は、物件の売買価格に「手数料率」という定められた料率を掛けて算出します。
では具体的に仲介手数料はいくらかかるのでしょうか。ここからは仲介手数料の計算方法を解説していきます。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法で以下のように上限が定められています。
ただし、あくまでも上限なので、実際に支払う金額は不動産会社と売主が相談して決めることになります。
売買価格(税抜)のうち | 仲介手数料の上限 |
---|---|
A)400万円超の部分 | 3% |
B)200万円超~400万円以下の部分 | 4% |
C)200万円以下の部分 | 5% |
では実際に仲介手数料を計算してみましょう。
ここでは、売買価格が1000万円の場合を例として説明していきます。
仲介手数料はおおまかに3つのステップを踏んで算出します。
- 不動産の売買価格を3つに分ける
- 3つの金額それぞれに決められた料率を掛ける
- 3つの金額を合計したものに消費税を加える
①売買価格が1000万円の場合
上記の図にあるように、まず売買価格1000万円を3つの区分に分け、それぞれの金額に決められた料率(3%・4%・5%)を掛けます。
400万円以上の部分(=対象金額600万円)
200万円以上400万円以下の部分(=対象金額200万円)
200万円以下の部分(=対象金額200万円)
これらを合計すると、
これに消費税(10%)を加えた金額が仲介手数料になります。
②売買価格が5000万円の場合
では売買価格が5000万円の場合、仲介手数料はいくらになるか計算してみましょう。
まず売買価格5000万円を3つに分けて、それぞれの金額に料率(3%・4%・5%)を掛けます。
200万円 × 4% = 8万円
200万円 × 5% = 10万円
これら3つの金額を合計すると、
さらに消費税を加えると、
よって、売買価格が5000万円の場合、仲介手数料は171万6000円になります。
仲介手数料の計算は「速算式」が便利
売買価格が400万円を超える場合は「速算式」が便利です。
仲介手数料が以下の簡単な計算式で求められます。
(売買価格 × 3% + 6万円)+ 消費税
なぜこのような簡単な計算式で金額が求められるのでしょうか。
売買価格1000万円の場合を例に、計算式を分解して考えてみましょう。
まず売買価格1000万円を3つに分けて計算します。
400万円以上の部分(=対象金額600万円)
(A)
200万円以上400万円以下の部分(=対象金額200万円)
(B) (b)2万円
400万円以上の部分(=対象金額200万円)
(C) (c)4万円
次に(A)~(B)の部分だけをまとめると、
= 1000万円(売買価格)×3%
になります。そこに残りの(b)と(c)を加えると、
=36万円
となります。最後に消費税を加えると39万6000円になり、通常の計算方法と同じ金額になります。
したがって、(売買価格 × 3% + 6万円)+ 消費税という速算式でも仲介手数料が求められるというわけです。
仲介手数料を支払うタイミングは?
仲介手数料を支払う時期は媒介契約を結ぶ際に決めますが、売買契約の成立時と残金決算時に半金ずつ支払うのが一般的です。
ただし、売買契約が「無効」「取り消し」「解除」なのかによって、仲介手数料の支払いの有無も変わってきます。
不動産会社と媒介契約を結ぶ際、どのようなケースだと仲介手数料が発生するのか、しっかり確認しておきましょう。
仲介手数料で注意すべきポイント
不動産売却時の仲介手数料について、そのほかに注意すべきポイントを以下にまとめました。
買い取りの場合、仲介手数料は不要
仲介手数料は不動産会社が売買の仲介した場合に支払われる報酬なので、不動産会社自身が買主である場合、基本的に仲介手数料は発生しません。
解約時に料金が発生する場合がある
基本的に売買契約が成立しなければ仲介手数料はかかりません。
しかし、「手付解除」などの場合は一度契約が成立したとして、仲介手数料を支払わなくてはならない場合があるので注意が必要です。
手付解除とは
売買契約を結ぶ際、契約成立の証拠金として買主から売主に支払うのが「手付金」です。通常、売買価格の1~2割が手付金として支払われます。
「売主が受け取った手付金の倍額を返還する、もしくは買主が支払った手付金を放棄することで契約を解除できる」という取り決めをした場合に授受される手付金が「解約手付」。
この解約手付によって契約を解除することを「手付解除」といいます。
安さだけで不動産会社を選ぶのはNG
仲介手数料にかかる金額は大きいので、「できるだけ少なく抑えたい」と思う方は多いでしょう。
実際に仲介手数料が「無料」または「半額」などとアピールする不動産会社も存在しますが、それ以外の項目で費用を請求されることもあるので要注意。
仲介手数料が安いからといって不動産会社を選ばず、自分が売りたい物件と不動産会社の得意分野がマッチしているか、営業担当者のスキル、査定価格など、さまざまな角度から慎重に検討しましょう。
仲介手数料を稼ごうとする「両手仲介」にも注意
「両手仲介」とは1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行い、両者から仲介手数料を得ることです。
それに対して、売主と買主で別々の業者が仲介する場合を「片手仲介」といいます。
両手仲介は不動産会社からすれば、利益が倍になり、儲けが大きいのがメリット。
しかし、両手仲介にこだわる不動産会社だと、自社の顧客の中から買い手を見つけようとするため、市場で買い手を探すよりも売却まで時間がかかるおそれがあります。
通常、不動産会社は業者のみが閲覧できる「レインズ」という売買物件の情報ネットワークを使って、他社の顧客からも買い手を探します。
しかし、悪質な不動産会社だと「レインズ」に物件を登録していない場合があります。
両手仲介を防ぐためには、まず「レインズ」への登録義務がある媒介契約を結び、契約を結んだ後は「レインズ」に物件が登録されているかを確認することが重要です。
媒介契約や「レインズ」について、詳しくは「家やマンションを売るなら専任媒介と一般媒介のどちらがいい?」をお読みください。
不動産のプロに聞く!仲介手数料9つの疑問
ここまで仲介手数料に関する基本的な知識をご紹介してきました。
そのほか、仲介手数料の気になる疑問について不動産のプロの方に聞いてみました。
協力してくれたのは不動産コンサルタント歴6年
株式会社パワーコンサルティングネットワークス 羽者家 未桂さん
Q1
仲介手数料がそのまま、不動産会社の利益になるのでしょうか?
実はそれ以外にも報酬として請求されたりするのでは?
ご認識の通り、仲介手数料が利益になります。
ただ、厳密に申し上げますと、仲介手数料がそのまま純利益になるというわけではありません。
売買物件を調査する上での諸費用は、多くの場合不動産会社が負担しますので、それらが経費として差し引かれることになります。
諸費用とは主に、登記簿謄本や公図、測量図、道路台帳や建築確認概要書、台帳記載事項証明書、評価証明書など書類の取得に関わるものです。
また、インターネットから成約事例などを入手する際にも費用がかかる場合があります。
さらに細かいことを申し上げますと、役所や法務局、水道局、現地など調査先までの交通費も必要です。
なお、仲介手数料以外に報酬はいただきません。
Q2
ネットなどの広告を見ると、仲介手数料無料や半額の文字をよく見ますが、実は販売価格に上乗せされている…なんてこともありますか?
個人的には「賃貸仲介」ですと、手数料を無料や半額にしている不動産会社が増えたと感じていますが、「売買仲介」で手数料を値引いている不動産会社は少ないのではないかと思います。
仮に仲介手数料を値引きし、値引きした分を売買価格(販売価格)に上乗せすると、売買価格が相場から外れてしまい、契約成立まで時間がかかるなどの弊害があるため、考えづらいです。
推測の域を出ませんが、半額や無料にしている場合は、売主さんが何かしらの負担をされているのだと思います。
Q3
仲介手数料は成功報酬制ですが、希望日までに売れないもしくは希望金額で売れないなどの場合、不動産会社にペナルティは発生するのでしょうか?
不動産会社にとっての仲介手数料は、売買契約が成立しないと入ってこないため、「成果報酬制」といわれています。
「売主さんの希望日までに売れない」「希望金額で売れない」といった場合、不動産会社にペナルティは発生しませんが、業者は売主さんに相場やスケジュール感について、十分に説明する義務があります。
売主さんが売却を急ぐのであれば、ある程度価格を下げる必要がありますし、希望金額が相場より高いのであれば、ある程度時間に余裕を持つ必要があります。
売り出し前にしっかり打合せをしておけば、きっと、売主さんにご納得いただける形で契約が成立するはずです。
Q4
「仲介手数料をおまけして」と言われたら安くしますか?
例えば3000万円の家なら〇〇円などある程度の社内ルールはありますか?
仲介手数料の料率は、宅地建物取引業法で上限が定められており、これを超えることはできません。
ただし、上限の料率から算出した手数料額を下回ることに問題はありませんので、値引きは不動産会社の自由です。
なお、仲介手数料の計算式は複雑であるため、通常は簡易計算式(売買価格の3%+6万円+消費税)が使われることがほとんどです。
Q5
「家を売りたいのに何年も売れなかった」なんて話もよく聞きます。
これってよくあることですか?
残念ながら不動産会社がちゃんと仕事をしても、物件の特性上、売れるまで数年かかってしまうケースもあります。
一方で、不動産会社が怠慢であることが原因で、買主が見つからないことも考えられます。
不動産会社に任せたから安心ということではなく、売主さんも不動産会社の仕事ぶりをチェックする必要があります。
Q6
Q5に関して、不動産会社の仕事ぶりはどうやってチェックすればいいですか?
たとえば「専任媒介」「専属専任媒介」で依頼をした場合、不動産会社は1週間または2週間ごとに報告する義務があります。
そこで、どれだけ具体的な報告をしてくれるかをチェックすることも大切です。
インターネットにどのように掲載されているか、販売図面がどのように作成されているか。
また、不動産会社のお店をアポなしで訪ねてみて、どのような対応をされるかなどもチェックしてみると面白いかもしれません。
Q7
お客様と仲介手数料の話をしているとき、仲介手数料に誤解があると感じたことはありますか?(単なる販売手数料だと思われている、ぼったくりのように思われたなど)
最初にしっかりご説明を差し上げるので、誤解があると感じたことはありませんが、「『決まった手数料だから仕方ない』とお考えの方が多いのではないかな」と思うことはあります。
特に短期間で契約が成立した場合は「そんなに払う必要ないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、宅建業の免許の維持や、仲介業者としての責任を負うことなど、表面上のやり取りでは見えない仕事についてご理解いただけると、仲介手数料が妥当な設定であると考えていただけるのではないでしょうか。
Q8
仲介手数料の支払いのタイミングは、売り手と買い手で違うのでしょうか? 成功報酬のはずなのに、先に半分払うように言われることも多いみたいですが……。
通常は同じタイミングですが、売主さんと買主さんで違うというよりも、依頼している不動産会社によって違う場合がございます。
不動産会社によっては、契約時と決済時に分けて支払いを受けるところもあれば、決済時に一括で支払いを受けるところもございます。
仲介手数料の支払のタイミングについては、「媒介契約」を締結する際に説明がありますので、ご自身が依頼される不動産会社にご確認ください。
Q9
良い不動産会社を選ぶポイントなど、アドバイスをお願いします。
(こんな不動産会社は信用できるよ、私のところではこうしているよ、など)
お客様のご要望をしっかり聞き、理解してくれることはもちろんですが、それを心得ながらも、不動産会社としてプロの客観的な意見を言ってくれる不動産会社は信用できるのではないでしょうか。
最近は仲介契約を得たいがために、無理をして高めの査定価格を提示する不動産会社も多くいます。
高い査定価格を見た売主さんは喜ぶかもしれませんが、それが相場から外れていれば、結局は値下げして販売することになり、売主さんにとっては、無駄に時間をかけたことになりかねません。
お客様のご希望・ご指示通り進めることは簡単ですが、それではただの御用聞きです。
高く売ることがゴールなのか、早く売ることがゴールなのか。はたまた他のゴールがあるかもしれませんが、そのゴールまで最短でたどりつけるよう、お客様の立場になってアドバイスし、支援してくれるのが信頼できる不動産会社だと思います。