2019.08.222020.12.07

家やマンションの売却前にリフォームは必要?高く売るには?

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家の模型とカッターとローラーとブラシと刷毛

家の評価は傷み具合によって変わります。

「それならリフォームしてきれいにした方が高く売れるのでは」と思われるかもしれません。
しかし、リフォームしたからといって必ずしもプラスの評価にならない場合があるので注意が必要です。

この記事では家を売る前にリフォームをすると高く売れるのか、リフォームのメリット・デメリットをはじめ、リフォームが必要なケースについて解説します。

こんな悩みを解消します!

  • 家やマンションはリフォームしたほうが高く売れる?
  • リフォームにはどんなメリット・デメリットがあるの?
  • どんな家だとリフォームが必要?判断基準が知りたい。

リフォームしてからの方が高く売れるのは本当か?

築年数の古い家やマンションの場合、リフォームして見栄えを良くすれば、売れやすくなりそうな気がします。

しかし、多くの不動産会社はリフォームを勧めません。一体なぜなのでしょうか。

まずはその理由から説明していきます。

費用をかけた分だけ高く売れるわけではない

築年数の古い家やマンションを購入しようとしている人の多くは「なるべく安く買って、自分好みのリフォームやリノベーションに費用をかけたい」と考えています。

ですから、仮に100万円をかけてリフォームを行い、その金額を上乗せして売り出したとしても、買主がそのリフォームを気に入らなければ購入してもらえない可能性が高いのです。

築年数の古い家を探す買主にとって、安さは重要な選択基準となるため、リフォームの費用は価格に上乗せしにくいという場合がほとんどです。

 

リフォームしてから売るメリットとデメリット

「売る」ためだけにリフォームをするメリットとデメリットを比べてみます。

メリット

  • 古びた状態がきれいになるので、見た目はよくなる。
  • 買主にリフォームの手間がなくなり、すぐ生活が始められる。
  • 広告で「リフォーム済み」とアピールできる。

デメリット

  • リフォームの費用を価格に上乗せしにくい。
  • リフォームが買主の好みに合わなければ購入対象から外れる。
  • 自分でリフォームしたい人は興味を示さない。

リフォームに悩んだら自分だけで判断せず、まずは不動産会社の担当者に相談してください。
数多くの売却物件を手掛けた経験に基づいたアドバイスがもらえるでしょう。

 

リフォームと修繕は違います。修繕は絶対に必要です

家を売るとき「どうせリフォームするだろうから」と、壊れた箇所をそのままにしておいてはいけません。
「リフォーム」と「修繕」はまったく違います。

「リフォーム」とは古くなった設備や内装をきれいにする作業で、老朽化したものを新しくするイメージです。
一方、「修繕」は壊れた箇所や機能を回復する作業です。

普通に考えて、壊れているものを買いたいという人はいません。きっちりと修理をし、使える状態にして売り出しましょう。

修繕をケチっても、損壊箇所があれば必ず値下げを要求されますし、隠したまま売ることができても、売主には「瑕疵(かし)担保責任」が生じます。
先に修繕を済ませた方が、売主にも買主にも良い結果を生むのです。

瑕疵担保責任について、詳しくは「民法改正|契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや注意点」を参考にしてください。

 

どんな家にリフォームが必要か?

古い一戸建ての家
リフォームの費用を売却価格に上乗せできないのであれば、「いっそのこと一切リフォームをしない方がいい」ということではありません。

あまりにも見栄えの悪い家は、どんな買主であっても第一印象が悪くなるものです。
それだけでなく、古い家は現在の建築基準に適合していないものが多く、それがトラブルの原因になることも。

では、どんな状態だとリフォームが必要になるのかをチェックしていきましょう。

 

家やマンションの建築年数をチェック

古い家の場合、現在の建築基準に合っているかどうかを最初に確認してみましょう。
建設当時の建築基準に適合していたものの、その後の法改正などで適合から外れてしまった物件は「既存不適格物件」と呼ばれます。

既存不適格物件をそのまま販売しても法的に罰せられることはありませんが、以下の点に注意してください。

既存不適格物件の注意点

  • 耐震基準など、現在の基準に適合していない場合、買主がローンを組めない場合がある。
  • 増改築や建て替えを行う場合、現在の建築基準に適合させなければならない。
  • 現在の建築基準に適合していないにもかかわらず、「適合している」と嘘をついて販売した場合、売主に瑕疵担保責任が発生する。

建築基準の適合に関しては、不動産会社の調査に対し、誠意を持って対応してください。

ろくに確認もせずに「適合している」などと答えないように注意しましょう。
現在の建築基準に適合していないにもかかわらず、「適合している」と偽って売却すると「瑕疵担保責任」が生じます。

 

設備の耐久年数で必要かを判断する

家の価値は10年でゼロになるといわれています。しかし、だからといって住めなくなるわけではありません。

クロスなどのリフォームが必要になってくるのは10年目からですし、キッチンやトイレなど水回りも普通に使用していれば、15年程度は問題が生じることはほぼありません。

下記の表は一般的な設備の耐久年数であり、中古物件のリフォームの目安になります。

破れたり壊れたりということがなければ、築15年目以内の物件ならリフォームは特にしなくてもいいと判断できます。

しかし、室内のカーペットやクロス壁紙、外装の金属塗装などは見栄えが悪いと買主の印象を損なうため、あまりにも劣化している場合はリフォームを考えてみましょう。

カーペット・金属塗装の耐久年数は6~9年、クロス壁紙・ガス給湯器・水栓・外壁塗装は10~14年、室内ドア・換気扇は10~19年、屋根・屋上改修は12~17年、金属塗装は13~17年、キッチン・トイレ・バスルーム・洗面台は15~19年、給水管・排水管は18~21年、ドア改修は20~24年

売るための手段としてのリフォーム

ペンキの刷毛とペンチと金槌
リフォームをした物件は「リフォーム済み」と広告に記載し、「手間がかからずにすぐ住める家」を探している層に対してアピールできます。

「安く買って自分でリフォームしたい買主」を狙うのであればリフォームをせずに売り出し、「手間をかけずにすぐ住める家を探している買主」を狙うならリフォームを行ったほうがいいといえます。

どちらがいいかは個々の物件の状況によって変わりますので、不動産会社に相談してみましょう。

 

築年別のリフォーム予算をチェック

では実際にリフォームした場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

以下の表に、一戸建てとマンションそれぞれの平均的なリフォーム費用をまとめました。
これだけの費用を価格に上乗せして売ることができるかどうか、十分に検討したうえでリフォームを行ってください。

 

築年別・リフォームの予算とその内容

※あくまでもモデルケースです。家やマンションの状況や大きさにより変動します。

築年数 マンション
(専有面積70㎡・6畳和室あり)
一戸建て
(建物面積100㎡)
10年 約3万円
・畳の表替え 3万円
約3万円
・畳の表替え 3万円
15年 約135万円
築10年の費用3万円に加えて
・クロス交換 42万円
・給湯器の交換 15万円
・洗面台交換 10万円
・ユニットバス交換 65万円
約253万円
築10年の費用3万円に加えて
・クロス交換 50万円
・給湯器の交換 20万円
・洗面台交換 10万円
・バスタブの交換 80万円
・外壁塗装 75万円
・屋根の補修 15万円
20年 約250万円
築15年の費用135万円に加えて
・キッチン交換 60万円
・トイレ本体の交換 10万円
・フローリング工事 45万円
約358万円
築15年の費用253万円に加えて
・キッチン交換 60万円
・トイレ本体の交換 10万円
・フローリング工事 35万円
25年 約250万円
築20年の費用と同様
約538万円
築20年の費用358万円に加えて
・柱の補修・点検工事 180万円(耐震用補修工事)

 

上記の表を見ると、リフォームにはかなりの費用が必要だとわかります。

しかし、売却を成功させるためには、大規模なリフォームでなくてもいいのです。
買主にアピールできる効果的なリフォームは何かを考え、なるべくコストをかけずに家の見栄えをよくすることが重要となります。

 

水回りのリフォームはかなり有効

水回りは買い手が特に気にするところ。洗面台にひびが入っていたり、トイレに黒ずみがあったりする場合は、リフォームをすると印象がアップします。
ただしこの場合も、パーツの交換程度にしておく方がいいでしょう。

金額は洗面台の交換で10万円前後、温水洗浄便座への交換が5万円前後です。

 

リフォームではなく、ハウスクリーニングという選択も

「リフォームするほどでもないけれど、自分で掃除するだけではあまりきれいにならない」という場合、ハウスクリーニングをお願いするという方法もあります。

業者により料金はさまざまですが、一般的にキッチン(換気扇掃除のぞく)と洗面台、トイレのクリーニングをお願いして、約3万~5万円程度です。
室内すべてをクリーニングしてもらう場合、マンションなら10万円前後、一戸建てなら12万円前後です。

ただし、業者により価格にかなりの開きがあるので、事前によく調べてから依頼するようにしましょう。

 

「リフォーム代金○○万円負担します!」も効果的

築年数が古く、リフォームした方がいいとは思うけど「どこをどうリフォームすればいいのかわからない」という場合は、「リフォーム代金○○万円負担します」と広告に記載するのも効果的です。

たとえば、200万円の予算でリフォームを行い、1500万円で売り出すのであれば、リフォームせずに1500万円で売り出しましょう。
そして、「リフォームの費用を200万円まで負担します」と広告に記載するのです。

「リフォーム済み」とするより、買主が自分の好みでリフォームできるお得感も出せますし、買主が「リフォームしない」という場合は、200万円を値引きして1300万円で売却してもいいでしょう。売主と買主、どちらにもメリットがあるといえます。

 

「大切に使っていました」という姿勢が大事

築年数の古い家は、築浅(築年数が浅い)の物件より売れにくいのは事実です。
しかし、古民家や町家のように、ずっと大切に使っていた雰囲気が漂う家には、新しい物件には感じられない魅力があるものです。

リフォームをすることを考えるより、まずはきっちりと隅々まで掃除ができているか確認してください。
一戸建てであれば、柱や敷居、鴨居、床の間などもワックスやサンドペーパーをかけ、木の温もりが伝わるようにしてください。

不用なものは処分し、すっきりとした空間を演出します。
内覧者が訪れたとき、「この家は大切にされているから買っても安心」と思ってもらえることが大切です。

 

まとめ

今回お伝えしてきたように、リフォームしたからといって家が高く売れるわけではありません。
リフォームした分、価格が高かったり、リフォームが購入希望者の好みに合わなかったりすれば、かえって売れにくくなってしまいます。

壊れている部分があれば修繕を行い、掃除やハウスクリーニングできれいにしておけば、基本的にリフォームは不要です。
もしリフォームするなら、必ず不動産会社に相談してから行うようにしてください。

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―みんな実践している―家やマンションを高く売る方法